【研修医さん必見!】救急外来での気胸について

医療系
イタリア旅行サンマルコ広場での1枚

どうもみなさんおはこんばんにちは~ネリです.
今回は救急外来で1度は経験するであろう気胸についてまとめていきたいと思います.

気胸とは

みなさん気胸がなんだかわかりますか?

研修医さん
研修医さん

さすがにわかりますよ!
肺に穴が開いて空気が胸腔内に入り,その空気によって正常肺が虚脱してしまう病態ですよね.

国家試験でも画像一発問題がたくさんあったありがたい”気胸”ですから, きっと病態や画像検査についてはみなさん大丈夫でしょう.
救急外来(臨床の現場)で迷うのは恐らく診断した後になります.

今回は簡単に自然気胸の分類や治療方針, 胸腔ドレーン挿入後に必要なクランプテストについてまでお話しできればと思います.

※緊張性気胸や手術歴があり胸膜が癒着している場合などは治療方針が大きく変わる可能性があるのでご注意ください.

気胸のイメージ図

気胸と診断したら

気胸と診断したら全例胸腔ドレナージでいいの?

私の時代の国家試験では, 画像で気胸とわかれば治療はまず間違いなく胸腔ドレナージで正解でした.
しかしながら臨床の現場では全例が胸腔ドレナージになるとは限りません.

画像検査で分類してから治療方針について検討します.

軽度(Ⅰ度) 肺尖部が鎖骨レベルまたはそれよりも頭側にある.

中等度(Ⅱ度) 軽度と高度の中間程度.

高度(Ⅲ度) 全虚脱またはそれに近いもの.

分類と症状で変わる治療方針

さて, 画像検査で分類した後は治療方針を決定します.

基本的に呼吸困難などの症状がなく, 画像検査で軽度(Ⅰ度)と分類される場合は外来での経過観察が可能とされています.

逆にいえば他(自覚症状なし+Ⅰ度以外)は全例胸腔ドレナージ等による脱気が望ましいということです.

外来経過観察の場合は次の日または数日後に必ず画像検査フォローを外来で行ってください.その際に呼吸困難などの症状が出た際は外来を待たずして直ちに受診するようお伝えすることが非常に大事になります.
画像検査で軽度(Ⅰ度)と分類され, 症状がないような患者さんであれば, 基本的には安静にしていただくことで改善することが多いです.

”症状なし+軽度(Ⅰ度)”であれば外来経過観察が可能.
 →数日後に必ず画像検査フォローを外来で予約しましょう.その際に呼吸困難などの症状が出た際には外来を待たずしてすぐに受診するよう患者さんに説明することが大事になります.

上記以外は胸腔ドレナージによる脱気を行い入院加療の方針.

「おまけ」”クランプテスト”について

気胸に対して胸腔ドレナージを挿入し, 入院している患者さんがいったいいつ胸腔ドレーンを抜いて退院に向かうのかといった話になります.

ここで重要なのが”クランプテスト”です.
やみくもに抜去して再度気胸を起こしてしまったら, また胸腔ドレーンを挿入しないといけなくなります.患者さんにとって非常に不利益なことであり, 医療者としては避けたいところです.

そうならないためにも, 抜去する前にある程度現在の肺の状態を評価することができるのがこの”クランプテスト”になります.

やり方

  1. 低圧持続吸引を終了し, 水封の状態にします.
  2. さらにドレナージチューブをクランプして2~3時間様子をみます.
  3. 呼吸状態に変化がなく, 肺の虚脱等がないことをレントゲンで確認します.

上記全てで問題がなければ, 胸腔ドレーンを抜去しても気胸が再度増悪しない可能性が高いと判断できます.
レントゲンによる画像検査で肺の虚脱がなかったとしても, 本人が呼吸困難などを自覚するようであればクランプテストは失敗です.また時間をあけてから再度クランプテストをし, 肺の状態を評価してください.

おわりに

さて, みなさんいかがだったでしょうか.
国家試験では当たり前に気胸に対する治療は胸腔ドレナージ一択でしたが, 臨床現場ではそうではないこともあります.

上記のことが頭に入っていればこれからお医者さんになる学生さんや救急外来で働く研修医さんも十分かと思います.
適宜情報についてはアップデートしていきたいと思っています.


今後も自分のためにもアウトプットしていきたいと思いますのでぜひ他のページも覗いてみてください.

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