アナフィラキシーとは?救急科専門医が症状・エピペンの使い方・救急車を呼ぶ目安をわかりやすく解説

4月は入学・入社・花見・GW前の外食と、初めて口にする食品が増える季節です。救急外来では毎年この時期、アナフィラキシーの患者さんが増加します。「全身にじんましんが出たけど、救急車を呼ぶほど?」「エピペンはいつ打つの?」——救急科専門医が、知っておくべき知識を2022年の日本アレルギー学会ガイドラインをもとにわかりやすく解説します。

アナフィラキシーとは何か

アナフィラキシーとは、アレルゲンへの暴露後に複数の臓器へ急速に全身性アレルギー反応が起こり、生命を脅かしうる過敏反応のことです(日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン2022)。血圧低下や意識障害を伴う状態は特に「アナフィラキシーショック」と呼ばれます。

重要なのは「じんましんだけ」「おなかが痛いだけ」はアナフィラキシーではないという点です。複数の臓器に症状が同時に出ていることが診断の鍵になります。

主な原因:何がアナフィラキシーを起こすのか

  • 食物(件数としては最多。小児では卵・牛乳・小麦、成人では小麦・甲殻類・果物・ナッツ類)
  • 医薬品(死亡に至る割合が高い。NSAIDs・抗菌薬・造影剤・ワクチンなど)
  • ハチ刺傷(アドレナリン自己注射を使用した症例では最多の原因)

症状の見分け方:重症度グレードを知っておこう

日本アレルギー学会のガイドラインでは、症状を臓器ごとにグレード1(軽症)〜グレード3(重症)に分類しています。アナフィラキシーと診断するには、グレード3の症状がある、またはグレード2以上の症状が複数の臓器にあることが必要です。

臓器グレード1(軽症)グレード2(中等症)グレード3(重症)
皮膚・粘膜かゆみ・じんましん・発赤(限局)全身に広がるじんましん・むくみ顔全体の腫れ・唇・舌のむくみ
消化器軽い吐き気・腹部不快感嘔吐・下痢・腹痛(中等度)繰り返す嘔吐・便失禁
呼吸器鼻水・鼻づまり喘鳴・息苦しさ・犬吠え様咳嗽チアノーゼ・呼吸停止
循環器頻脈・軽い血圧低下高度の頻脈・血圧低下意識消失・心停止
神経元気がない・活動性低下意識の混濁・失禁意識消失

救急車を呼ぶ目安:この症状が出たら迷わず119

救急の現場からお伝えしたいのは、「迷ったら呼んでいい」ということです。アナフィラキシーは症状が出てから30分以内にアドレナリンを投与できるかどうかが生死を分けることがあります(日本アレルギー学会)。

  • 息が苦しい・ゼーゼーする・声がかすれる
  • 意識がぼんやりしている・返事が鈍い
  • 顔色が青白い・唇や爪が紫色になっている
  • 嘔吐を繰り返している
  • 立てない・倒れそう・脈が弱い
  • 過去に重篤なアナフィラキシーの既往があり、今回も症状が出ている

エピペン(アドレナリン自己注射)の使い方

エピペン®は、アナフィラキシーと診断された患者さんが医師の処方のもとに携帯するアドレナリンの自己注射薬です。

いつ打つか

  • 複数の臓器にアレルギー症状が出ており、アナフィラキシーと判断したとき
  • グレード3(重症)の症状が1つでも出たとき
  • 過去に重篤なアナフィラキシーの既往があれば早めに使用

使用後は症状が改善しても必ず救急受診が必要です。エピペンは医療機関での治療までの「つなぎ」の役割です。

打ち方の手順

  1. ケースからエピペンを取り出す
  2. 青色の安全キャップを外してロックを解除する
  3. オレンジ色のニードルカバーを下にして、太ももの前外側に垂直に強く押し当てる(衣服の上からでも可)
  4. 「カチッ」という音がしたら5〜10秒そのまま保持する
  5. 取り外してニードルカバーが伸びたことを確認し、使用済みエピペンを救急隊員または医師に渡す

症状出現後の体位:正しい姿勢が命を救う

  • 意識があり、血圧が低い・顔色が悪い場合:仰向けに寝かせて足を20〜30cm程度挙上する
  • 呼吸が苦しい場合:無理に寝かせず、楽な姿勢(座位や半座位)にする
  • 意識がない場合:回復体位(横向き)にして気道を確保する
  • 妊婦の場合:左側臥位にする

二相性反応に注意:症状が一度治まっても油断禁物

アナフィラキシーには二相性反応という現象があります。最初の症状が治まった後、通常1〜8時間後に再び重篤な症状が出ることがあります。症状消失後も少なくとも4〜8時間は医療機関での経過観察が推奨されます(日本アレルギー学会)。

予防と日常生活の注意点

  • アレルゲンが判明している方は食品表示を必ず確認する
  • 外食時はアレルギーがあることを事前に伝える
  • エピペンを処方されている方は常に携帯し、有効期限を定期的に確認する
  • 家族・職場・学校など周囲の人にもエピペンの使い方を共有しておく

参照ソース

  • 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」(jsaweb.jp)
  • 日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン啓発サイト(anaphylaxis-guideline.jp)
  • 食物アレルギー研究会「症状出現時の対応(2020年改訂)」(foodallergy.jp)

まとめ

アナフィラキシーは複数の臓器に同時に症状が出る、急速に悪化するアレルギー反応です。息苦しさ・意識の変容・顔面蒼白があれば迷わず119番。エピペンを処方されている方は「迷ったら打つ」が原則で、使用後も必ず受診してください。4月は初めての食環境が増える季節。この記事を家族と一緒に読んで、いざというときに備えておきましょう。


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