尿路結石とは?激痛発作の対処法と再発予防|最新ガイドラインを救急科専門医が解説

「夜中に突然、わき腹から背中にかけて経験したことのない激痛が走った」——救急外来で最も多い相談のひとつが尿路結石による疝痛発作です。春から夏にかけて気温が上昇し、汗で体内の水分が失われやすくなる季節は、尿が濃縮されて結石ができやすく、救急受診が一気に増える時期でもあります。本記事では、日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会が編集した『尿路結石症診療ガイドライン 2023年版(第3版)』をもとに、症状・受診の目安・治療・再発予防までを救急科専門医がわかりやすく解説します。

尿路結石とはどんな病気か

尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱・尿道といった尿の通り道に石ができる病気です。石の成分の約8割はシュウ酸カルシウム結石で、そのほかリン酸カルシウム、尿酸、シスチンなどがあります。日本人の生涯罹患率は男性で約7人に1人、女性で約15人に1人と報告されており、決してまれな病気ではありません。2015年の疫学調査以降、メタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病との関連が明確になり、生活習慣病の一症状とも考えられるようになっています。

症状——「のたうち回るような痛み」が典型

結石が腎臓の中にとどまっている間は無症状のことも多いのですが、結石が尿管に落ちて尿の流れを塞ぐと、腎盂内の圧が急激に上がり、強烈な疝痛発作を引き起こします。代表的な症状は次のとおりです。

  • 突然始まるわき腹から背中にかけての激しい痛み(間欠的または持続的)
  • 下腹部や鼠径部、陰部への放散痛
  • 血尿(肉眼で赤い場合と、顕微鏡でしかわからない場合がある)
  • 吐き気・嘔吐、冷や汗、顔面蒼白
  • 下部尿管結石では頻尿・残尿感などの膀胱刺激症状

痛みがあまりに強いため、心筋梗塞や大動脈解離、急性虫垂炎、女性では卵巣茎捻転や子宮外妊娠などの危険な病気と区別する必要があります。「いつもの結石だろう」と自己判断せず、初めての激痛では必ず受診してください。

救急受診の目安——こんなときは迷わず救急車を

尿路結石そのものは多くの場合、生命に直接関わる病気ではありません。しかし、結石によって尿の流れが完全に止まり、そこに細菌感染が加わると「閉塞性腎盂腎炎」となり、敗血症に至ることがあります。次のサインが一つでもあれば、ただちに救急受診が必要です。

  • 38度以上の発熱と悪寒戦慄を伴う
  • 意識がぼんやりする、血圧が下がる
  • 尿が出ない、極端に減っている
  • 市販の鎮痛薬がまったく効かない強い痛みが続く
  • 嘔吐が止まらず、水分も取れない

診断と治療——ガイドラインが示す標準的な流れ

診断は、問診・身体診察に加えて、尿検査(血尿の確認)、超音波検査、単純CTで行います。CTは結石の位置と大きさを最も正確に把握できるため、現在の標準的な検査となっています。

治療の第一目標は痛みを取ることです。ガイドラインでは、疝痛発作に対する第一選択薬として非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の坐薬や注射が推奨されています。NSAIDsが効きにくい場合や腎機能低下などで使えない場合は、アセトアミノフェンや非麻薬性鎮痛薬を用います。痛みが落ち着いたら、結石の大きさで方針を決めます。

  • 長径10mm未満:自然排石が期待できるため、十分な水分摂取と鎮痛薬で経過を見ます
  • 長径10mm以上、あるいは1か月以上排石しない:体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)、経皮的腎結石砕石術(PNL)といった積極的治療を検討します

再発予防——5年で半数近くが再発するからこそ生活習慣が大事

尿路結石はいったん治っても5年以内に約45%、10年で約60%が再発するといわれており、再発予防がきわめて重要です。ガイドラインで推奨されている対策は次のとおりです。

  • 水分摂取:1日の尿量が2000mLを超えるよう、水やお茶を意識して飲みます。コーヒー・紅茶・玉露はシュウ酸を多く含むため飲みすぎに注意します
  • カルシウム制限はしない:かつては制限が勧められていましたが、現在は1日600〜800mgのカルシウムを十分にとることが推奨されています。腸内でシュウ酸と結合して便から排出されるため、むしろ結石予防に働きます
  • シュウ酸を控える:ほうれん草・タケノコ・チョコレート・ナッツなどはゆでこぼしや量の調整を
  • 動物性タンパク質と塩分の取り過ぎを避ける
  • 肥満・メタボの改善:運動と体重管理が再発率を下げます
  • 夕食から就寝までは2〜3時間あける:就寝中の尿濃縮を防ぎます

まとめ

尿路結石は、これからの暑い季節に増える救急疾患の代表選手です。突然の激痛におびえる必要はありませんが、発熱を伴う痛みは閉塞性腎盂腎炎というれっきとした緊急事態のサインです。一度結石を経験した方は、水分摂取と食生活の見直しを継続し、定期的に泌尿器科でフォローを受けてください。早めの予防が、つらい激痛発作の最大の防御になります。

本記事は救急科専門医が監修しています。症状や治療については個人差があるため、必ず医療機関にご相談ください。

参照ソース

  • 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会編「尿路結石症診療ガイドライン 第3版(2023年版)」
    https://plaza.umin.ac.jp/~jsur/gl/jsur_gl2023.pdf
  • Mindsガイドラインライブラリ「尿路結石症診療ガイドライン 第3版」
    https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00807/
  • 旭川医科大学 泌尿器科「尿路結石症の食事(再発予防)」
    https://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/urol/25.pdf
  • 東北大学 泌尿器科「尿路結石症について〜特に再発予防に関して」
    http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/patient_info/ic/cal_02.html

コメント

タイトルとURLをコピーしました