毎年しもやけを繰り返す人が一度採血を受けたほうがいい理由|温め方の落とし穴と「氷点下でなくても起きる凍傷」との見分け【救急科専門医・2026年版】



毎年冬になると指先や耳たぶが赤く腫れて痒くなる——救急科専門医が解説します。しもやけ(凍瘡)は「寒かったから」ではなく、気温4〜5℃で1日の気温差が10℃以上という条件で起きます。そして日本臨床皮膚科医会は、しもやけを繰り返す人・症状が強い人に対して、皮膚科での検査をはっきり勧めています。理由と、温め方の落とし穴、氷点下でなくても起きる「凍傷」との違いまでまとめます。

結論:しもやけは「冷えたから」ではなく「気温差」で起きる

冬に指先が赤紫に腫れて痒い。この症状で最初に押さえるべきことは3つです。

①しもやけが出やすいのは、氷点下ではなく「4〜5℃・日較差10℃以上」の時期 ②治療はビタミンEの塗り薬だが、いちばん効くのは予防(防寒) ③毎冬のように繰り返す・症状が強いなら、一度皮膚科で採血を受ける——この3つです。

③がこの記事の芯です。しもやけは市販薬で様子を見られる、ありふれた冬の症状として扱われがちですが、日本臨床皮膚科医会は「ひふの病気」のなかで凍瘡についてこう書いています。

しもやけに関して、一つ注意しておきたいことがあります。若い女性に多いエリテマトーデスという病気があり、しもやけと良く似た皮膚症状を示すことがあります。(中略)血液検査などで詳しく調べることによってはっきりとしますので、しもやけを何度も繰り返したり、しもやけの症状が強い人は、一度皮膚科を受診して検査を受けることをお勧めします

「治し方」を探している人が見落としがちなのは、しもやけそのものの治療ではなく、しもやけの見た目をしている別の病気のほうです。まず凍瘡の実像を押さえ、そのうえで分かれ目を見ていきます。

しもやけ(凍瘡)が起きる条件は「4〜5℃・日較差10℃以上」

凍瘡(とうそう)は、いわゆる「しもやけ」の医学的な呼び名です。日本臨床皮膚科医会は、発症しやすい気象条件を具体的な数字で示しています。

冬期間に気温が4~5度で一日の気温の差が10度以上になると、しもやけを起こしやすくなると言われています

ここが直感に反するところです。真冬の最も寒い時期より、初冬と早春のほうがしもやけは出やすいということになります。日中は10℃を超えて夜間に4〜5℃まで落ちる、あるいは暖房の効いた室内と屋外を行き来する——そういう「差」のある環境で血管の収縮と拡張が繰り返されるためです。

真冬の厳寒期はむしろ気温が一日じゅう低いままで日較差が小さく、しかも人は厚着をします。「今年は寒いのにしもやけにならなかった」「暖冬なのに毎年しもやけになる」という体感のずれは、この条件で説明がつきます。

11月と3月に手袋を出し忘れる、という行動が一番のリスクだということです。

できる場所は決まっている——指先・耳たぶ・頬・鼻

日本臨床皮膚科医会は、症状の出る場所を血流の観点から説明しています。

冷たい外気に曝された後、血行の悪くなりやすい場所、すなわち手足の指先、耳朶(耳たぶ)、頬、鼻などに症状が出ます。皮膚が赤く腫れあがり、ひどい時には水ぶくれを起こすこともあります

指先・耳たぶ・頬・鼻。いずれも体の中心から遠く、外気に露出していて、皮下組織が薄い場所です。逆に言えば、この4か所以外——たとえば太ももや体幹、片方の足だけ——に「しもやけのようなもの」ができているときは、凍瘡の典型からは外れます。

なお、ひどいときには水ぶくれ(水疱)ができることも凍瘡の範囲内です。水疱=重症の別疾患、とは限りません。ただし水疱が破れて浸出液が出る、範囲が広がる、といった場合は自己判断の限界です。

お風呂に入ると痒くなるのが、しもやけらしさ

凍瘡の症状で診断の助けになるのが、痒みの出るタイミングです。

痒みを伴い、入浴などにより痒みが強くなることも特徴です

冷えているときは感覚が鈍くて何ともないのに、風呂に入って温まった瞬間、あるいは暖房の効いた部屋に入った直後にジンジンと痒くなる。この「温めると痒くなる」パターンは凍瘡らしい所見です。

これは乾燥による痒み(皮脂欠乏症)とは出方が違います。乾燥のかゆみは入浴後に皮脂と水分が失われてから、少し時間が経って出てきます。凍瘡は温めた瞬間の血流再開で出ます。同じ「冬・かゆい」でも、時間軸が違うということです。

冬の乾燥によるかゆみと保湿剤の使い方については冬のかゆみは保湿剤の量と回数で変わる|皮脂欠乏性湿疹になる前に止める塗り方と皮膚科に行く目安で扱っています。

同じ寒さでもなる人とならない人がいる

同じ教室、同じ職場、同じ通勤路でも、しもやけになる人とならない人がいます。これは根性や我慢の問題ではありません。

同じように寒気に当たっても、しもやけを起こしやすい人と起こしにくい人がいることが知られています。つまり、冷気に曝された後の血流の障害の程度とそこからの回復には遺伝的な差があって、しもやけになりやすい体質の人と、なりにくい体質の人がいると考えられています

そして年齢と性別にも偏りがあります。

子供に多い病気ですが、女性では大人になっても繰り返す人もいます

つまり「子どものころしもやけだったが大人になって治った」は自然な経過で、「大人になっても毎年繰り返す女性」は凍瘡としては典型的ではあるが、後述する検査の対象になりやすい層でもある、ということです。この二重性がしもやけの厄介なところです。

治療はビタミンEの外用、繰り返すなら内服も。ただし主役は予防

凍瘡の治療について、日本臨床皮膚科医会はこう記しています。

しもやけの治療には、ビタミンEの塗り薬が使われます。症状が強い場合や、広範囲にわたる場合、毎冬のようにしもやけを繰り返す人の場合などには、ビタミンEの飲み薬も有効です。しかし、しもやけの場合には予防が最も重要です

整理すると、こうなります。

軽い・限局している:ビタミンEの外用薬
症状が強い/範囲が広い/毎冬繰り返す:ビタミンEの内服も選択肢
すべての段階に共通:予防(防寒)が最重要

そして具体的な防寒については、こう続きます。

しもやけになりやすい人は、冬に外出する時には、手袋、マスク、耳当て、防止などの防寒具でしっかりと冷気を避けるように気をつけて下さい

(引用中の「防止」は原文表記のままです。防寒帽の意味と読めます。)

手袋・マスク・耳当て・帽子。並んでいる4つが、そのまま前述した好発部位——指先・鼻と頬・耳たぶ——に対応しています。薬は起きたものを鎮めるだけで、起こさないための手段は物理的な遮断しかないという構図です。

なお、しもやけの症状が強いとき・繰り返すときに内服が検討されるのと、同じ状況で採血が勧められるのは、条件が重なります。「毎冬繰り返すから飲み薬をもらいに行く」という受診で、そのまま検査の話にもなり得るということです。

温め方の落とし穴——「熱いもので一気に」が一番危ない

しもやけの部位は感覚が鈍くなっています。ここに湯たんぽ、カイロ、電気毛布、ヒーターの前で直に当てるといった温め方をすると、低温やけどのリスクが上がります。

低温やけどは44℃程度の熱源でも長時間の接触で起こり、しかも痛みが軽いまま皮膚の深いところまで達するのが特徴です。しもやけで感覚が鈍っている部位は、まさにその「気づけない」条件が揃っています。

温めるなら、ぬるめの湯(40℃前後)に浸ける、乾いた衣類で覆う、室温そのものを上げる——熱源を皮膚に直接押し当てない方法を選びます。

低温やけどの受診の目安については朝起きたら湯たんぽ・カイロの跡が赤い|低温やけどの受診の目安と「痛くないのに深い」理由にまとめています。

また、冷えた体でいきなり熱い風呂に入るのは別のリスクを呼びます。冬の入浴の温度と時間についてはヒートショック対策が「脱衣所を暖める」だけでは足りない理由|冬の入浴で意識を失わないための湯温41度・10分を参照してください。

毎年繰り返すしもやけで、皮膚科が採血をする理由

ここからが本題です。しもやけによく似た皮膚症状を出す代表が、全身性エリテマトーデス(SLE)です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、SLEの皮膚症状のなかにこう記載しています。

紫外線に暴露した後に、露光部位に紅斑、水疱、あるいは熱が出ることがあり、このような日光過敏症はこの病気でよく見られ、発症のきっかけに鳴ります。反対に寒冷刺激によっても手指が白く冷たくなるレイノー現象や凍瘡(しもやけ)様紅斑が出現します

(引用中の「鳴ります」は原文表記のままです。)

「凍瘡様紅斑」——つまり見た目がしもやけそのものの紅斑が、SLEの皮膚症状として挙げられています。同じQ&Aは、この病気の輪郭も示しています。

平成22年度の特定疾患に登録され患者数は56,254人でしたが軽症の患者さんはその数倍いると考えられています。男女比は1:9で、圧倒的に女性に多い病気です。すべての年齢に発症しますが、15才から65才までに多く起こります

発症や悪化の誘因となるのは紫外線曝露、寒冷刺激、感染症、外傷、手術、妊娠・出産、薬剤、ストレスがあります

ここで先ほどの凍瘡の記述を思い出してください。「女性では大人になっても繰り返す人もいます」。そしてSLEは「男女比1:9で圧倒的に女性に多く、15〜65才に多い」。「大人の女性が毎冬しもやけを繰り返す」という状況は、凍瘡としても典型的で、同時に鑑別したい病気の好発層とも重なるということです。

だから日本臨床皮膚科医会は、「繰り返す」「症状が強い」という2つの条件で採血を勧めています。皮膚の見た目だけでは分けられないから、血液で分ける、という順序です。

なお、SLEの皮膚症状として最も特徴的なのは両頬の蝶型紅斑と、円板状の紅斑(顔面・耳・首のまわりに好発)とされています。しもやけ様紅斑は、そのほかの症状のひとつという位置づけです。採血を勧められる=SLEが強く疑われている、ではありません。除外のための検査だと理解してください。

レイノー現象——「白→紫→赤」の3段階が出たら別の話

しもやけと並んで、冬の手指の症状で押さえておくべきなのがレイノー現象です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、その定義をこう脚注しています。

レイノー現象:手指の血管の攣縮により一過性に血流障害が生じる現象。典型例では、寒冷暴露や精神的な緊張などにより手指がサッと白くなり、その後に紫色となり、最後に赤くなってから常色に戻ります。一般に全経過は数分から数十分です

しもやけとの違いがはっきり出ます。

しもやけ:赤紫に腫れ、数日〜数週間その状態が続く。温めると痒くなる
レイノー現象:白→紫→赤と色が段階的に変わり、数分から数十分で元に戻る。腫れは主症状ではない

「冷たいものを触ると指が真っ白になって、しばらくすると戻る」。これはしもやけではなくレイノー現象です。そしてレイノー現象は、全身性強皮症という膠原病の中心症状でもあります。同じQ&Aの全身性強皮症の項にはこうあります。

全身性強皮症ではレイノー症状がその80%以上の患者さんでみられます。レイノー症状とは寒冷刺激(冷凍食品に触ったり、冷たい外気に曝されたときなど)によって手指が白や紫に突然変化する症状です

80%以上という頻度です。さらに、この病気の見つかりにくさについても書かれています。

本邦での全身性強皮症患者は6,000人以上いると推定されています。全身性強皮症はレイノー症状で発症することが多いのですが、その中には皮膚硬化がゆっくりとしか進行しない患者さんも多く、病気に気が付かなかったり、医療機関を受診しても診断されなかったりすることもしばしばあり、このような軽症型の全身性強皮症を含めると患者数は数倍以上になると推定されています

冷凍食品を触ったときに指が白くなる、という日常のひとコマが手がかりになり得る、ということです。

皮膚科を受診する目安

ここまでを、受診の判断に落とし込みます。

皮膚科で一度検査を受けたほうがよい
・毎冬のようにしもやけを繰り返している
・しもやけの症状が強い(範囲が広い、水ぶくれや潰瘍になる、痛みが強い)
・大人になってから初めてしもやけが出た
・しもやけの時期と関係なく、手指が白くなって数分〜数十分で戻ることがある
・しもやけ以外に、原因のはっきりしない発熱・関節痛・顔の紅斑・脱毛がある

その場で医療機関に相談したほうがよい
・水疱が破れて浸出液が出ている、じくじくしている
・患部が黒っぽく変色してきた、感覚が戻らない
・患部が急速に赤く腫れて熱を持ち、痛みが強くなっている(感染や蜂窩織炎との区別が要ります)

まず防寒と外用で様子を見てよい
・子どもで、例年どおりの部位に、例年どおりの範囲で出ている
・指先や耳たぶが赤く、温めると痒いが、数日で軽快に向かっている

受診先は皮膚科です。夜間や休日に救急外来を受診する必要がある症状ではありません。

しもやけと凍傷(frostbite)はまったく別物

名前が似ているので混同されますが、凍瘡(しもやけ)と凍傷(frostbite)は別の病気です。凍傷は組織が凍結し、細胞が壊れる傷害で、重症例では組織が壊死します。

日本形成外科学会の学術集会で報告され、日本創傷外科学会の学会誌『創傷』に掲載された症例報告は、凍傷の性質をこう説明しています。

熱傷が接触温度と作用時間により共通の傷害をもたらすのに対して,凍傷は種々の内的因子(年齢,人種,全身状態,血管病変,薬剤など),外的因子(環境温度,作用時間,湿度,風力など)が影響し傷害をもたらす。そのため熱傷とは治療戦略が異なり,画一的な診断・治療戦略が立てにくい

やけどは「何度のものに何秒触れたか」でおおよそ決まりますが、凍傷は本人側の条件で結果が変わる、ということです。

好発部位は凍瘡とよく似ています。

凍傷の好発部位は手,足に多く,次いで耳,鼻,頬部の順である

そして重症度は4段階に分けられています。

Ⅰ度 皮膚の紅斑,軽度の浮腫/Ⅱ度 重度の浮腫,水疱形成/Ⅲ度 皮膚全層にわたる壊死/Ⅳ度 骨や筋に達する壊死

Ⅰ度の凍傷は「皮膚の紅斑と軽度の浮腫」です。しもやけの見た目と重なります。同じ論文は、この分類が「retrospective な評価による分類であり,初期段階の予後予測や治療方針を立てるのに役立たない」とも述べています。つまり初期には専門家でも見た目だけで軽重を判断できないということです。

氷点下でなくても凍傷は起きる——最低4.4℃の日に、暖房のある屋内で

「凍傷は雪山と極寒地の話」と思われがちですが、同じ症例報告は、その前提が崩れる例を報告しています。

冬の某日,京都市内の自宅のオイルヒーターのついた一室で過ごしていた。同日夜間に,動けない様子で不穏状態であった患者を家族が発見した。その際の室内は寒かったとのことであった。(中略)その日の最低気温・最高気温は 4.4℃・13.4℃であり,搬送前日まで患者が歩行しているところを家族は確認していた

82歳の女性です。氷点下ではありません。屋外でもありません。暖房器具のある部屋です。搬送時の体温は32.4℃(直腸温)で、低体温症を伴っていました。両足の全趾が暗紫色となり、水疱とびらんを認め、両耳介・両上眼瞼・鼻部・両頬部・両手にも発赤腫脹がみられたと記載されています。

論文は背景をこう考察しています。

本症例では凍傷発症部位に元々うっ滞性皮膚炎の既往があり,また,服薬コンプライアンス不良な心疾患や甲状腺疾患を合併していたこと,低体温症や脱水・横紋筋融解症を合併していたことも凍傷の発症に関与したと考えられる

連日の低気温により冷気が屋内に停滞し,低体温症による意識障害のために長時間冷気に曝露され重度の凍傷を発症した可能性も考え得る

救急の現場から見て、ここが最も重要な点です。凍傷の条件は「氷点下」ではなく「長時間動けなかった」です。持病があり、薬が飲めておらず、暖房の設定が届かない部屋で、動けないまま夜を越す。この組み合わせは、雪国でなくても、都市部の家の中で成立します。

「4〜5℃・日較差10℃以上でしもやけ」という条件と、この症例の「最低4.4℃・最高13.4℃」は、ほぼ同じ気象条件です。同じ日の同じ気温で、若く健康な人には凍瘡が、動けなくなった高齢者には凍傷が起きる。差をつけているのは気温ではなく、その人の側の条件だということです。

低体温症そのものの見分け方は偶発性低体温症とは|震えが止まったら危険サイン・正しい対処と受診の目安にまとめています。震えが止まったら軽症ではありません。

凍傷を疑ったときの初期対応——約40℃の湯に30分

凍傷が疑われる状況——長時間の寒冷曝露のあとに、指趾が白ろう色や暗紫色になり感覚がない——では、初期対応が予後を左右します。同じ論文は治療の第一歩をこう記しています。

急速融解は約 40℃の湯に患部を 30 分程度つけて解凍する。重要な初期治療であり,受傷後早期に行うべきである

覚えておくのは「約40℃・30分」です。そのうえで、家庭でやってはいけないことを挙げます。

こすらない・もまない:凍結した組織を機械的に壊します
熱すぎる湯・直火・ストーブに直接当てない:感覚が失われているため熱傷を重ねます
一度温めたあと、また冷やさない:融解と再凍結の繰り返しは損傷を深くします。搬送中に再び冷える状況なら、現場で温めきれないまま医療機関へ向かうほうがよい場合があります
水疱を自分で破らない:感染の入口になります

そして、これは家庭で完結させる話ではありません。同じ論文は、凍傷が「時間経過とともに損傷部位の範囲が明確化する」ため、初期治療後に3〜5週程度の保存的治療を行って壊死範囲が明確になってから手術に進む、という経過をたどると述べています。初日の見た目で軽く見えることが、軽症の根拠にはならないということです。感覚が戻らない、色が戻らない場合は医療機関を受診してください。

子どもと高齢者では見るところが違う

同じ「しもやけ」でも、年齢によって注意点が変わります。

子ども——凍瘡はもともと子どもに多い病気です。手袋・帽子・耳当てを装備させ、濡れた靴下や手袋をそのままにしないことが対策の中心になります。雪遊びや水遊びのあとに濡れたままの手足を放置すると、気温以上に熱を奪われます。範囲が広い、潰瘍になる、といった場合は皮膚科です。

大人(とくに女性)——大人になってから毎冬繰り返す場合が、前述の検査の対象です。「子どものころからずっと」であっても、症状が年々強くなっているなら一度調べる価値があります。

高齢者——見るべきは皮膚ではなく生活のほうです。暖房が使えているか、室温が保てているか、薬が飲めているか、転倒して動けなくなっていないか。前述の症例は、そのすべてが崩れたときに何が起きるかを示しています。冬の帰省で親の手足に見慣れない変色があるとき、確認すべきは軟膏の有無ではなく、部屋の温度と服薬です。帰省時に気づける親の変化については誤嚥性肺炎とは?お盆の帰省で気づく親の「むせ」と不顕性誤嚥も参考になります。

「冬のかゆみ(乾燥)」の記事との住み分け

当サイトには冬の皮膚症状の記事が複数あるため、読み分けを示します。

この記事(しもやけ・凍瘡):指先・耳たぶ・頬・鼻が赤紫に腫れる。温めると痒い。原因は寒冷と気温差による血流障害。治療はビタミンE外用と防寒

冬のかゆみ・保湿剤の量と回数:すね・腰・背中が白く粉をふいて痒い。腫れはない。原因は乾燥(皮脂欠乏症)。治療は保湿剤の量・回数・タイミング

低温やけど:湯たんぽやカイロが当たっていた場所だけが赤い。痛みが軽いのに深い。原因は熱源への長時間接触

寒暖差アレルギー:皮膚ではなくの症状。朝だけ鼻水、熱はない

腫れているのか、粉をふいているのか、当たっていた場所だけなのか。この3つで、冬の皮膚症状はおおむね切り分けられます。

よくある質問

しもやけに効く市販薬はありますか?

日本臨床皮膚科医会は「しもやけの治療には、ビタミンEの塗り薬が使われます」としています。ビタミンE(トコフェロール)を含む外用薬は市販でも入手できます。ただし同会は「しもやけの場合には予防が最も重要です」とも明記しており、薬より防寒具が優先されます。症状が強い場合・広範囲の場合・毎冬繰り返す場合は内服も有効とされていますが、これは医療機関での判断になります。

しもやけは温めれば治りますか?

温めること自体は正しい方向です。ただし方法に注意が要ります。しもやけの部位は感覚が鈍くなっているため、湯たんぽ・カイロ・ヒーターを直接当てると低温やけどのリスクがあります。低温やけどは痛みが軽いまま皮膚の深いところまで達するのが特徴です。ぬるめの湯に浸ける、乾いた衣類で覆う、室温そのものを上げる、といった方法を選んでください。また、日本臨床皮膚科医会は凍瘡について「入浴などにより痒みが強くなることも特徴です」としており、温めた直後に痒みが強くなるのは想定内の反応です。

なぜ真冬より春先のほうがしもやけになるのですか?

日本臨床皮膚科医会は「冬期間に気温が4~5度で一日の気温の差が10度以上になると、しもやけを起こしやすくなると言われています」としています。しもやけの条件は絶対的な低温ではなく、気温差です。厳寒期は一日を通して気温が低く日較差が小さいうえ、人も厚着をします。日中に10℃を超えて夜間に4〜5℃まで下がる初冬や早春のほうが、条件は揃いやすくなります。

大人になってから急にしもやけが出ました。放置してよいですか?

一度皮膚科を受診することをおすすめします。日本臨床皮膚科医会は凍瘡について「子供に多い病気ですが、女性では大人になっても繰り返す人もいます」としつつ、「しもやけを何度も繰り返したり、しもやけの症状が強い人は、一度皮膚科を受診して検査を受けることをお勧めします」と明記しています。理由は、全身性エリテマトーデス(SLE)がしもやけに似た皮膚症状(凍瘡様紅斑)を出すことがあり、皮膚の見た目だけでは区別が難しい場合があるためです。SLEは日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによれば男女比1:9で女性に多く、15才から65才までに多く発症するとされています。

冷たいものを触ると指が真っ白になります。これもしもやけですか?

しもやけとは別のものである可能性が高いです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、レイノー現象を「寒冷暴露や精神的な緊張などにより手指がサッと白くなり、その後に紫色となり、最後に赤くなってから常色に戻ります。一般に全経過は数分から数十分です」と説明しています。数分〜数十分で色が戻るのが特徴で、しもやけのように赤紫の腫れが数日続くのとは経過が異なります。レイノー症状は全身性強皮症の80%以上の患者にみられるとされているため、繰り返すようであれば皮膚科または膠原病内科への相談を検討してください。

凍傷は氷点下でなければ起きませんか?

起きることがあります。日本創傷外科学会の学会誌『創傷』に掲載された症例報告は、京都市内の自宅のオイルヒーターのついた一室で発症したと考えられる82歳女性の凍傷例を報告しています。その日の最低気温・最高気温は4.4℃・13.4℃で、氷点下ではありませんでした。この方は低体温症による意識障害のため長時間動けず、冷気に曝露されたと考察されています。凍傷の成立条件は気温そのものよりも、持病・薬剤・全身状態といった本人側の因子と、曝露時間です。高齢の家族が冬に動けなくなっている状況では、屋内であっても凍傷と低体温症を考える必要があります。

参照ソース(一次情報)

この記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の症状の診断・治療については、必ず医療機関を受診してください。

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