親が急に食べなくなったら献立より先にお薬手帳を見てください|高齢者の食欲不振で受診を急ぐサインと、家族がやってはいけない声かけ【救急科専門医・2026年版】



親が急に食べなくなった——救急科専門医が解説します。このとき多くのご家族が最初にやるのは、やわらかい料理に変える、栄養補助食品を買う、好物を用意する、といった「食べさせる工夫」です。ただ、国立長寿医療研究センターの資料を読むと、先に確認したほうがいいものが2つあります。ひとつはお薬手帳、もうひとつは体重です。理由と、受診を急ぐサインまでまとめます。

結論:先に見るのは献立ではなく「薬」と「体重」

高齢のご家族が食べなくなったとき、最初にやることは3つです。

①お薬手帳を開いて、最近始まった薬・増えた薬がないか見る ②体重を測って、いつからどれだけ減ったかを数字にする ③「食べないと体に悪いよ」という声かけをやめる——この3つです。

③が意外に思われるかもしれません。国立長寿医療研究センターは、ご家族向けの助言として明確にこう書いています。

ご家族の方は、一緒に会話しながら食卓を囲んで、食べないことに対して怒ったり、食べることを強制するのは控えましょう

そして①がこの記事のいちばん伝えたいところです。食欲不振の原因が、飲んでいる薬そのものであることがある——しかも、同センターの症例では、薬をやめたら食べるようになっています。

「食べやすくする工夫」はもちろん大事ですが、それは原因を確認したあとの話です。順番が逆になっていることが少なくありません。

高齢者では「食欲がないだけ」が危ないサインになる

まず押さえておきたいのが、高齢者の症状の出かたです。国立長寿医療研究センターの「健康長寿ナビ」は、食欲低下の原因を器質的疾患(原因となる病気があるもの)と機能的疾患(原因となる病気がはっきりしないもの)に分けたうえで、器質的疾患についてこう書いています。

代表的な疾患としては、胃癌、膵癌などの悪性疾患、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、肝硬変などの良性疾患があげられます

問題はここからです。

特に高齢者では内臓関連の知覚が衰えて腹痛などの症状が出にくいので、悪性疾患でも良性疾患でもかなり進行した状態で発見されることが少なくありません

若い人なら痛みで気づく病気が、高齢者では「なんとなく食欲がない」だけで進むということです。痛みがないことは、安心材料になりません。同センターははっきりこう続けています。

“食欲がないだけで、腹痛などの症状がないからたいしたことはない”と思わずに、まずは、早めに検査をして、病気の早期発見を心がけましょう

救急の現場でも同じ構図をよく見ます。「最近食が細くて」とだけ言われて来られた方に、検査をすると別の理由が見つかる。腹痛や発熱といった分かりやすい症状は、高齢になるほど当てになりません。

お薬手帳を先に見る理由①——副作用としての食欲不振

国立長寿医療研究センターのNST(栄養サポートチーム)ニュースレターは、食欲不振と薬の関係を正面から扱っています。

現在NST介入を行っている患者の中には「食欲不振」「食事摂取のムラ」が問題となっている場合が多くあります。高齢者は多数の薬剤を服用していることが多く、食事摂取不良の原因となっている可能性のあるケースもあります

同ニュースレターは、食欲不振につながる薬剤を作用別に整理しています。

消化管障害 NSAIDs、ビスホスホネート製剤/悪心、嘔吐 オピオイド、抗がん剤、SSRI、ジギタリス製剤、鉄剤/便秘 抗コリン薬、オピオイド、抗がん剤/下痢 抗がん剤、抗菌薬/味覚障害 苦みのある薬剤、キレート剤

ここに並んでいるのは、特殊な薬ばかりではありません。NSAIDs(痛み止め)、ビスホスホネート(骨粗鬆症の薬)、鉄剤(貧血の薬)は、高齢の方が日常的に飲んでいる薬です。

そして、これらは「効きすぎている」わけでも「間違って処方されている」わけでもありません。同ニュースレターは、対応の方向をこう書いています。

薬剤の副作用には食欲不振につながるものがあります。最小限の使用に止めたり、可能であれば中止や減量、他の薬剤への変更により改善することもあります

自己判断で薬を止めてはいけません。ここで必要なのは、「この薬を飲み始めてから食べなくなった気がする」という情報を、処方している医師や薬剤師に伝えることです。

お薬手帳を先に見る理由②——量は変えていないのに効きすぎる

もうひとつ、見落とされやすい経路があります。同じニュースレターの「効き過ぎが原因となる薬剤」の項です。

高齢者は生理機能の低下により薬物の代謝能の低下や排泄能の低下を来します。それにより常用量であったり以前から増量していないにもかかわらず強く薬効が現れることがあります

薬も量も変えていないのに、あるときから効きすぎるようになる——これが高齢者で起きます。「ずっと飲んでいる薬だから関係ない」と除外できない理由がここにあります。

該当する薬として挙げられているのは次の4群です。

睡眠導入剤 ブロチゾラム、フルニトラゼパム、ゾピクロン、ゾルピデム、ベルソムラ®、ロゼレム®等/抗不安薬 エチゾラム、ソラナックス®、ワイパックス®等/抗精神病薬 リスパダール®、エビリファイ®、セレネース®等/降圧薬 アムロジピン、アジルバ®、ザクラスHD®等

睡眠薬が効きすぎると、日中の目覚めが悪くなります。ぼんやりしたまま食事の時間になれば、当然食べません。「食欲がない」ではなく「起きていない」という状態です。

同ニュースレターは、家族や医療者に向けてこう添えています。

ふだんの患者さんの様子をよく見ておくことが大切です

実際に薬を止めたら食べるようになった——2つの症例

抽象的な話ではありません。同じニュースレターには、実際の症例が2つ載っています。

アミティーザ®服用中に腸管ガス貯留を認め、アミティーザ®による腹部膨満が原因で食欲不振を来した可能性が考えられた。アミティーザ®中止後、食事摂取量の増加が認められた

ロゼレム®、ベルソムラ®服用中であり日中の覚醒度が不良であり摂食が進まない状態であった。ロゼレム®、ベルソムラ®中止後覚醒度は上昇し食形態がアップでき、食事摂取量も増加した

1例目は便秘薬でお腹が張って食べられなくなっていたケース。2例目は睡眠薬で日中も眠く、食事が進まなかったケースです。

どちらも、献立を変えても栄養補助食品を足しても解決しなかったはずのものです。原因が食事の側になかったからです。

なお、便秘そのものが食欲不振の原因になることもよくあります。高齢者の便秘への対応は高齢者の便秘に浣腸を使う前に確認する5つのことにまとめています。同ニュースレターの1例目は、まさに「便秘への対応が食欲を落としていた」パターンです。

病気でも薬でもない食欲低下——嚥下・味覚・胃腸の機能

検査をしても異常が見つからないこともあります。同センターは機能的な原因としてこう挙げています。

高齢になると飲み込む能力(嚥下機能)が低下して、1回の食事量が減少し、これが持続することで食欲に影響を及ぼすことがあります。味やにおいを感じることが弱くなることも食欲低下の一因と考えられます

消化吸収を司る臓器、特に胃腸の機能が加齢により低下すると、やはり食べたものを体内で処理しきれないので食欲が低下してきます

ここでも症状の出かたに特徴があります。

胃のもたれや胃痛を訴える方もおられますが、高齢になると食欲の低下しか自覚されない方が少なくありません

つまり「どこも痛くない」「気持ち悪くもない」「ただ食べたくない」だけという訴えが、高齢者では標準的な出かたです。訴えが少ないことは、軽いことを意味しません。

飲み込みの力が落ちている場合は、食欲の問題より先に誤嚥のリスクを考える必要があります。むせや発熱の見かたは誤嚥性肺炎とは?お盆の帰省で気づく親の「むせ」と不顕性誤嚥にまとめています。

検査で異常がないと言われたとき——機能的胃腸症という考え方

胃カメラを含めて検査をしても画像に異常がなく、「どこも悪くない」「気のせい」と言われることがあります。同センターは、その中に機能的胃腸症(FGID)が含まれる場合があるとして、仕組みを説明しています。

ところが、ストレスを脳が感じると、図2のメカニズムが崩れて消化管運動異常が起きたり、内臓の知覚過敏を起こします。これにより、食後の胃のもたれや腸内のガス貯留などを引き起こしてお腹が膨れたような感覚を起こし、不安感や抑うつ感を感じるようになり、ますますストレスがたまる状態となるとの悪循環をきたします

高齢となると内臓の知覚が衰えて自覚症状が乏しくなり、結果として食欲低下や不安感だけを感じるようになると考えられます

そして、注意しておきたい指摘があります。

長く一人暮らしであったり、現在のコロナ下のように長時間屋内で過ごすことが多くなってしまうと、この状態を通常の生活と思いストレスと感じないようになる場合がありますので注意しましょう

本人にストレスの自覚がないことが、ストレスがないことの根拠にならないということです。ひとり暮らしが長い親御さんでは、ここを本人に聞いても答えは返ってきません。

同センターは、この場合について「消化管運動を調整する薬などが有効な場合がありますので医師に相談しましょう」としています。「異常なし」で終わらせなくてよい、ということです。

家族がやってはいけない声かけと、代わりにやること

食べない親を前にすると、つい「もっと食べないと」と言ってしまいます。ですが、同センターの助言は明確です。

ご家族の方は、一緒に会話しながら食卓を囲んで、食べないことに対して怒ったり、食べることを強制するのは控えましょう

強制が逆効果になるのは、食べないこと自体が本人の意思ではないからです。薬で気持ち悪い、お腹が張っている、眠くて意識がはっきりしない——どれも「頑張れば食べられる」ものではありません。

代わりに勧められているのが、次の工夫です。

少しずつ食べられる量のみ盛り付けして、小出しにしてだす、お好きな物を中心に献立を考えるなどの工夫をしてみましょう

食べやすい物、柔らかい物(ゼリーなど)、あるいは総合栄養食品(メイバランスなど)も栄養補助として考慮してみましょう

規則正しい生活につとめて、適切な運動をこころがけることや十分な睡眠をとるようにしましょう

大盛りを完食させるより、少量を何回かに分けるほうが総量は増えます。目の前に多く盛られること自体が、食欲を落とすことがあるからです。

運動については、こう補足されています。

体を動かすことでストレスと感じていたことが解消することがあります。また、運動により筋力を維持することができます。体力が低下して出かけるのが難しいと感じられる方は訪問でのリハビリテーションなどを活用しましょう

体重を数字にする——「なんとなく減った」では動けない

食欲不振の重さを測る、いちばん手軽で確実な方法が体重です。同センターの研究所のコラムは、こう書いています。

普段、食べている量が適量かを判断する上で最も手軽な方法は、体重測定です

少なくとも週に1回程度は体重を測定して、体重の変化を把握し、摂食量を見直すことは、低栄養を回避する上でとても大事です

目標とする体重の範囲についても、高齢者では考え方が変わります。

18歳以上のどの年齢でも目標とするBMIの上限値は24.9kg/m2と一定ですが、BMIの下限値は18歳から49歳よりも50歳から69歳で高く、70歳以上では21.5kg/m2ともっと高い値が推奨されています。つまり高齢者では、やせ、すなわち低栄養リスクの抑制を意識した目標値となっています

高齢者では「やせているほうが健康」ではありません。下限が高く設定されているのは、やせを避けるためです。

そして、体重の減少は本人が気づきにくいものです。同センターは冒頭でこの気づきかたを挙げています。

“最近、何となく食欲がないことが続いているな”、“ズボンを絞めるベルトが少しゆるくなったな”

ベルトの穴がひとつ変わった。帰省したときに確認できる、いちばん具体的なサインです。冬の帰省では手足の色の変化も一緒に見てください(毎年しもやけを繰り返す人が一度採血を受けたほうがいい理由)。

参考までに、同センターの長期縦断調査(40歳以上の男性922名・女性879名)では、体重は男性で53歳頃から、女性で47歳頃から低下傾向を示したと報告されています。加齢に伴う緩やかな減少はある、という前提のうえで、「いつから」「どれだけ」を数字にすることが判断の材料になります。

放っておくと何が起きるか——負の連鎖

食欲不振を「年のせい」で流したときに何が起きるか。同センターは連鎖のかたちで説明しています。

さらに進行すると、筋肉をつくるタンパク質が不足するためにサルコペア(筋肉がやせること)を合併して歩行などが困難になって転倒して足を骨折したり、脳に行くエネルギーが不足して認知症となることもあります

(引用中の「サルコペア」は原文表記のままです。サルコペニアを指すと読めます。)

さらに、いったん動かなくなると戻りにくくなります。

日常生活は、活気がなくなり臥床することが多くなり、そうすると必要エネルギーが少なくなるのでとますます食事が進まなくなるとの負の連鎖をきたして、ひどいときには寝たきりとなることも考えられます

食べない→動けない→お腹がすかない→さらに食べない。この輪は、入り口で切るほうが圧倒的に楽です。食欲不振を「食事の問題」として様子を見る期間が、そのまま連鎖の進む時間になります。

予防の側——「量」より「種類」が効く可能性

食欲が落ちきる前にできることについて、国立長寿医療研究センターが2025年10月に公表した調査研究があります。愛知県知多市の大規模コホート(NCGG-SGS)に参加した65歳以上のうち、認知症や認知機能低下のある人を除いた5,063名(平均年齢73.7±5.5歳、女性54.8%)を対象としたものです。この集団では「身体的フレイルあり」と判定された人が53.8%でした。

この研究が見たのは、過去の欠食習慣(1日2食以下)との関係です。

すなわち、中年期に欠食していた人では、その後に欠食をやめても身体的フレイルを発症するリスクが高い可能性が示されました

ここだけ読むと救いがないように見えますが、続きがあります。

すなわち、中年期に欠食をしていた人でも、その後に食品摂取の多様性が高い食事をしていれば身体的フレイル発症のリスクを抑えられる可能性が示されました

ここでいう食品摂取多様性スコアは、次のように定義されています。

10食品群(肉類、魚介類、卵類、牛乳・乳製品、大豆製品、緑黄色野菜類、果物、海藻類、いも類、油脂類)を毎日摂取する場合を1点、他の摂取頻度を0点として食品摂取の多様性を10点満点で評価する指標

「たくさん食べる」ではなく「いろいろ食べる」という指標です。食が細くなった方に量を求めるのは難しいですが、種類を増やすことは少量でもできます。同センターは結論として「高齢期においては、食品摂取の多様性を高めることが身体的フレイルの予防に重要である可能性が示されました」としています。

なお、これは予防の話です。すでに食べられなくなっている、体重が減っている、という段階では、まず原因を調べるほうが先になります。

受診の目安

ここまでを判断に落とし込みます。

早めに受診して検査を受けたほうがよい
・食欲がない状態が2週間以上続いている
・体重が減っている(ベルトや指輪、入れ歯が合わなくなった)
・腹痛や吐き気などの症状はないが、食欲だけがない(高齢者ではこれが標準的な出かたです)
・最近始めた薬・量が変わった薬がある
・日中うとうとしていて、食事の時間に起きていない

その日のうちに相談したほうがよい
・水分もとれていない、尿の量が減った(かくれ脱水
・黒い便が出た、血を吐いた(上部消化管出血のサイン)、または赤い血便が出た(虚血性腸炎
・発熱がある、呼吸が速い、いつもと様子が違う(むくみや息切れを伴うときは心不全も考えます)
・むせ込みが増えた、痰がらみが続く
・急に会話がかみ合わない、日付や場所が分からない

まず生活を整えて様子を見てよい
・数日だけの食欲低下で、体重は変わらず、水分はとれている
・きっかけがはっきりしている(暑さ、疲れ、行事のあとなど)

受診先はかかりつけ医(内科)です。かかりつけがない場合は消化器内科、高齢者の総合的な評価を希望する場合は老年内科があります。夜間や休日に救急外来へ行く必要があるのは、上の「その日のうちに」に当てはまるときです。

受診のとき、持っていくと話が早いもの

限られた診察時間で必要な情報を渡すために、次の3つを用意してください。

①お薬手帳(複数の医療機関の分すべて)——薬が原因の可能性を検討するには、飲んでいるものの全体像が要ります。他院の分、市販薬、サプリメントも含めてください

②体重の記録——「いつから」「何kgから何kgへ」。おおよそでも構いません。ベルトの穴や服のサイズの変化でも情報になります

③食べられなくなった時期と、そのころ変わったこと——薬が変わった、入院した、家族構成が変わった、季節が変わった。時期を並べると原因が見えることがあります

「食欲がありません」だけを伝えるより、この3つがあると検査の方向が決まります。

よくある質問

年をとれば食が細くなるのは当たり前ではないのですか?

加齢に伴う緩やかな減少はあります。国立長寿医療研究センターの長期縦断調査でも、体重は男性で53歳頃から、女性で47歳頃から低下傾向を示したと報告されています。ただし同センターは、食欲低下の原因として胃癌・膵癌などの悪性疾患や胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、肝硬変を挙げたうえで「特に高齢者では内臓関連の知覚が衰えて腹痛などの症状が出にくいので、悪性疾患でも良性疾患でもかなり進行した状態で発見されることが少なくありません」としています。年齢で説明できる範囲かどうかは、体重の減りかたと期間で見ます。数日で戻るなら経過を見てよく、2週間以上続く、体重が減っている、という場合は一度調べたほうがよいと考えてください。

飲んでいる薬が原因かもしれないと思ったら、やめてよいですか?

自己判断で中止しないでください。国立長寿医療研究センターのNSTニュースレターは、食欲不振につながる薬剤について「最小限の使用に止めたり、可能であれば中止や減量、他の薬剤への変更により改善することもあります」としていますが、これは処方している医師の判断で行うものです。降圧薬や抗精神病薬などは、急にやめること自体がリスクになります。ご家族がやるべきことは、お薬手帳を持って受診し、「この時期から食べなくなった」「この薬が始まってからだと思う」と伝えることです。同ニュースレターも「疑わしい場合はNSTや病棟薬剤師にご相談ください」としています。

栄養補助食品(メイバランスなど)を買ってもよいですか?

選択肢のひとつとして挙げられています。同センターは「食べやすい物、柔らかい物(ゼリーなど)、あるいは総合栄養食品(メイバランスなど)も栄養補助として考慮してみましょう」としています。ただし位置づけは「栄養補助」で、原因を調べる代わりにはなりません。栄養補助食品で体重が保てているうちに原因の検査を進める、という使い方が現実的です。

「食べないと弱るよ」と言うのはよくないのですか?

同センターはご家族向けに「食べないことに対して怒ったり、食べることを強制するのは控えましょう」と明記しています。食べられない原因が薬の副作用や腹部膨満、日中の眠気にある場合、励ましや叱責では解決しませんし、食卓が緊張する場になると食欲はさらに落ちます。代わりに勧められているのは「少しずつ食べられる量のみ盛り付けして、小出しにしてだす、お好きな物を中心に献立を考える」という工夫と、「一緒に会話しながら食卓を囲む」ことです。

検査で「異常なし」と言われました。もう何もできませんか?

そうとは限りません。国立長寿医療研究センターは、検査で画像的な異常がなく「どこも悪くない」「気のせいだ」と言われた方の中に、機能的胃腸症(FGID)が含まれる場合があると説明しています。ストレスにより消化管の運動異常や内臓の知覚過敏が起こり、「高齢となると内臓の知覚が衰えて自覚症状が乏しくなり、結果として食欲低下や不安感だけを感じるようになる」とされています。同センターは「機能的胃腸症を疑う場合には、消化管運動を調整する薬などが有効な場合がありますので医師に相談しましょう」としています。異常なし=打つ手なし、ではありません。

体重は何を目安にすればよいですか?

国立長寿医療研究センターは「少なくとも週に1回程度は体重を測定して、体重の変化を把握し、摂食量を見直すこと」を勧めています。目標とする体格については「18歳以上のどの年齢でも目標とするBMIの上限値は24.9kg/m2と一定ですが、BMIの下限値は18歳から49歳よりも50歳から69歳で高く、70歳以上では21.5kg/m2ともっと高い値が推奨されています」と説明されており、高齢者では低栄養を避けるために下限が高く設定されています。若い世代の「やせているほうがよい」という感覚をそのまま持ち込まないでください。

離れて暮らしていて、毎日は確認できません。何を見ればよいですか?

帰省や訪問のときに確認できるものが3つあります。ひとつは体重かベルトの穴です。同センターも気づきかたとして「ズボンを絞めるベルトが少しゆるくなったな」を挙げています。ふたつめはお薬手帳で、前回から増えた薬・変わった薬を見ます。みっつめは冷蔵庫とゴミ箱で、買ってあるのに手つかずの食材が残っていないか、食事の回数が減っていないかが分かります。本人に「食べてる?」と聞いても「食べてる」と返ってくることが多いので、聞くより物を見るほうが確実です。

参照ソース(一次情報)

この記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の症状の診断・治療については、必ず医療機関を受診してください。また、服用中の薬の変更・中止は必ず処方医の指示に従ってください。

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