年末年始に病院を探す前に、12月中に済ませておく3つのことがあります|12月29日〜1月3日が制度上「休日」になる意味と、迷ったときの相談窓口【救急科専門医・2026年版】



年末年始に体調を崩したとき、多くの人がまず検索するのは「今日やっている病院」です——救急科専門医が解説します。ただ、救急外来で毎年くり返し見るのは、その検索をする前に手を打てたはずの人たちです。12月29日から1月3日までは、制度のうえでは全部「休日」として扱われます。この5〜6日間をどう越えるかは、実は12月中旬までにほぼ決まります。準備と、休みに入ってからの判断のしかたを分けて書きます。

  1. 結論:やることは「12月中の3つ」と「休みに入ってからの3つ」
  2. 12月29日〜1月3日は、制度のうえでは全部「休日」です
    1. 同じ診療でも、日にちが変わると自己負担が変わる
  3. 準備①:薬が「1月4日まで足りるか」を、日数で数える
  4. 準備②:かかりつけ医の年末年始の診療日を、12月の受診時に受け取る
  5. 準備③:住んでいる地域で「♯7119」が使えるかを確かめる
    1. 子どもは♯8000。こちらは全国どこでも使えます
    2. 電話がつながらないときは、アプリ「Q助」で自分で判定する
  6. 救急車を呼ぶサインに当てはまったら、ためらわない
  7. 年末年始に実際に増えるもの①:餅による窒息
  8. 年末年始に実際に増えるもの②:急性アルコール中毒
  9. 年末年始に実際に増えるもの③:発熱と嘔吐下痢
  10. 子どもが熱を出したとき、時間外でも受診したほうがいいサイン
    1. 脱水を疑うサイン
    2. すぐに受診が必要な嘔吐
  11. 高齢の家族と過ごす年末年始に、見ておくもの
  12. 受診するときに持っていくもの
  13. まとめ
  14. よくある質問
    1. 年末年始は、どこの病院も本当に休みなのですか?
    2. 年末年始に受診すると、料金は高くなるのですか?
    3. 薬が年末年始に切れそうです。どうすればいいですか?
    4. 救急車を呼ぶか迷ったとき、まずどこに相談すればよいですか?
    5. 正月に餅を食べるのは、やめたほうがいいのでしょうか?
    6. 子どもが休みの日に熱を出しました。朝まで待ってよいですか?
    7. 酔いつぶれた人を、寝かせておいてもよいですか?
  15. 参照ソース(一次情報)

結論:やることは「12月中の3つ」と「休みに入ってからの3つ」

先に全体像を出します。

12月中にやる3つ
①飲んでいる薬が1月4日まで足りるか、日数で数える ②かかりつけ医の年末年始の診療日を、12月の受診のときに紙で受け取る ③自分の住んでいる地域で「♯7119」が使えるかを、元気なうちに確かめておく

休みに入ってからの3つ
④迷ったら自己判断で待たず、♯7119・♯8000・アプリ「Q助」のどれかに通す ⑤救急車を呼ぶサインに当てはまったら、迷っても119番する ⑥受診するときは保険証・お薬手帳・母子手帳を持って出る

この記事は、この6つの根拠を一次資料で埋めていきます。年末年始に増える事故(餅の窒息と急性アルコール中毒)についても、搬送データがはっきり出ているので後半で扱います。

12月29日〜1月3日は、制度のうえでは全部「休日」です

まず知っておいてほしい事実があります。年末年始が「病院が休みの期間」だというのは感覚の話ではなく、診療報酬という制度のなかで明文化されています。

厚生労働省の地方厚生局は、休日加算の対象となる休日について、こう説明しています。

休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいいます。

そのうえで、年末年始については明確な例外規定を置いています。

1月2日及び1月3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱っています。

1月1日は元日で祝日ですから、12月29日から1月3日までの6日間は、日曜・祝日でなくても制度上すべて「休日」です。土日の並びによっては、その前後もつながります。

つまり年末年始は「たまたま休みが続く時期」ではなく、制度としてそう設計されている期間です。だからこそ、そこに合わせて前倒しできることがあります。

同じ診療でも、日にちが変わると自己負担が変わる

医科診療報酬点数表は、初診料(291点)に対する時間帯の加算をこう定めています。

時間外加算、休日加算又は深夜加算として、それぞれ85点、250点又は480点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、それぞれ200点、365点又は695点)を所定点数に加算する

再診でも同じ構造の加算があります。

時間外加算、休日加算又は深夜加算として、それぞれ65点、190点又は420点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、それぞれ135点、260点又は590点)

診療報酬は1点10円で計算されます。3割負担の人が休日に初診を受ければ、休日加算250点=2,500円のうち750円ほどが上乗せされ、深夜(午後10時〜午前6時)なら480点=4,800円のうち1,440円ほどが上乗せされる計算です。実際の窓口負担は年齢や自治体の医療費助成によって変わりますが、同じ内容の診療でも、日にちと時刻で金額が変わるという点は変わりません。

これは「年末年始に受診するな」という話ではありません。緊急性があるものは、費用を理由に我慢してはいけません。言いたいのは逆で、予定を動かせるものは12月中の平日日中に寄せたほうが、費用も待ち時間も少なくて済むということです。

厚生労働省の「上手な医療のかかり方」も、同じ趣旨を書いています。

平日や夜間の「時間外診療」は通常、急な病気や大ケガなどの緊急性の高い救急搬送患者のために設置されています。

急な症状ではない場合には、休日や夜間を避け、平日の日中にかかりつけ医に診てもらいましょう。

準備①:薬が「1月4日まで足りるか」を、日数で数える

年末年始の救急外来で、実際にいちばん多く聞く相談のひとつが薬です。血圧の薬、糖尿病の薬、抗凝固薬、吸入薬、目薬、湿布——どれも「なくなったから」という理由で時間外に来ても、そこでできることは限られます。

やることは単純です。12月上旬に、手元の薬を1シートずつ数えて、1月4日まで足りるかを確認する。足りなければ、12月の平日日中の受診でその分を相談します。「年末年始があるので、いつもより長めに」と伝えれば済むことがほとんどです。

年末年始の受診では、お薬手帳が特に効きます。かかりつけ以外の当番医にかかることになったとき、飲んでいる薬の一覧がその場で出せるかどうかで、できる判断の幅がまったく変わります。厚生労働省の「上手な医療のかかり方」プロジェクトの資料も、受診時に用意するものとしてこう挙げています。

保険証、母子手帳、お薬手帳を用意しましょう

お薬手帳が持つ機能については、災害時の備えの文脈で詳しく書いた記事があります。年末年始の帰省にも同じことが当てはまるので、持病がある方は一度読んでみてください(災害で薬が切れたら?お薬手帳があれば処方箋なしで受け取れます)。

帰省で親元へ行く方は、そのお薬手帳を開いて「最近増えた薬がないか」も見ておくと、別の問題に早く気づけます(親が急に食べなくなったら献立より先にお薬手帳を見てください)。

準備②:かかりつけ医の年末年始の診療日を、12月の受診時に受け取る

年末年始の診療体制は、医療機関ごとにばらばらです。12月28日まで通常どおりのところもあれば、27日で終わるところもあり、1月4日からのところもあれば5日からのところもあります。これは休みに入ってから電話で調べるのがいちばん大変な情報です。

もっとも確実なのは、12月の受診のときに、受付で「年末年始の診療日を教えてください」と聞いて、紙かスクリーンショットで持ち帰ることです。多くの医療機関が12月上旬には掲示を出しています。

そもそも「かかりつけ医」がいない、という方も少なくありません。厚生労働省はかかりつけ医をこう定義しています。

健康に関することを何でも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師です。

見つけ方についても、同省はこう答えています。

近所や職場のお医者さんにかかってみて、決めましょう。健康診断や予防接種などの機会に身近な医療機関に行くことで「かかりつけ医」を見つけるきっかけにもなります。

インフルエンザの予防接種は、この「きっかけ」として使いやすい機会です。接種の適期そのものも12月中旬までなので、二重の意味で12月前半が勝負になります(インフルエンザの予防接種はいつ打つ?)。

なお、いつもの薬をもらうためだけに大きな病院へ行く必要はありません。

症状が安定していれば、診察や薬の処方は「かかりつけ医」で相談することもできます。

準備③:住んでいる地域で「♯7119」が使えるかを確かめる

年末年始に判断に迷ったとき、最初に頼れるのが電話相談です。ただし♯7119は全国どこでも使えるわけではありません。ここを休みに入ってから知るのでは遅いので、元気なうちに確かめておいてください。

総務省消防庁の救急安心センター事業(♯7119)は、こう説明されています。

「救急車を呼んだほうがいいのか」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのか」など判断に迷った際

医師・看護師・救急救命士から電話でアドバイスを受けることができる

実施範囲については、同庁はこう書いています。

現在、全国41地域で実施しています

受付時間は地域によって異なり、24時間対応のところもあれば、夜間帯だけのところもあります。また、♯7119という番号ではない形で同じサービスを提供している自治体もあります。

※上記以外にも、♯7119以外の番号で救急電話相談等を行っている地域があります

この電話相談には、実測された効果もあります。消防庁の資料は導入効果としてこう報告しています。

♯7119導入後、自己判断による診療時間外救急外来患者数が23.6%減少(神戸市:二次救急病院)

「自己判断で行く/行かない」を決めるより、相談を1本挟んだほうが結果が良くなるということです。冷蔵庫に番号を貼っておく、スマートフォンの連絡先に登録しておく、どちらでも構いません。

子どもは♯8000。こちらは全国どこでも使えます

子どもについては、別の窓口があります。子ども医療電話相談事業(♯8000)は、厚生労働省の資料に「平成22年7月5日より全国で実施」と明記されており、47都道府県すべてに窓口があります。全国統一の短縮番号にかけると、住んでいる都道府県の相談窓口につながり、小児科医師や看護師から助言を受けられます。受付時間は都道府県ごとに異なります。

電話がつながらないときは、アプリ「Q助」で自分で判定する

年末年始は電話相談も混み合います。つながらないときのために、総務省消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」を入れておいてください。ウェブ版もあります。

該当する症状及び症候を画面上で選択していくと、緊急度に応じた必要な対応(中略)が表示されます

判定結果は4段階です。

「今すぐ救急車を呼びましょう」、「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」又は「引き続き、注意して様子をみてください」

「行くか行かないか」の2択で悩むと迷いますが、4段階に分けると判断できることが多いのがこのツールの利点です。

やっている医療機関を探すのには、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」が使えます。「全国の病院・診療所・歯科診療所・助産所/薬局を探す」ためのもので、「現在診療中の医療機関」「休日夜間対応医療機関」という条件で絞り込めます。

救急車を呼ぶサインに当てはまったら、ためらわない

ここまで「前倒し」と「相談」の話をしてきましたが、それは緊急性のないものについての話です。次のようなときは、迷わず119番してください。厚生労働省の資料は、子どもについて救急車が必要なときをこう挙げています。

①意識がおかしい②けいれん?③呼吸がおかしい:声が出せないチアノーゼ(口唇が紫色)④出血が止まらない⑤やけど:広い範囲(背中、胸、両足、顔全体等)煙を吸った⑥誤飲:タバコが溶け出した水除草剤・殺虫剤・トイレ用洗剤酸・アルカリ・灯油等

そして、こう続きます。

①~⑥の場合、迷っても、119番しましょう

自分で連れて行くのが不安な時も119番しましょう

大人でも考え方は同じです。意識・呼吸・出血・けいれんのどれかが普通でなければ、電話相談を経由せずに119番で構いません。

救急要請そのものは増え続けています。消防庁の公表資料によれば、令和6年中の状況はこうです。

令和6年中の救急自動車による救急出動件数は771万7,123件(対前年比7万8,565件増、1.0%増)、搬送人員は676万4,838人(対前年比12万3,418人増、1.9%増)で救急出動件数、搬送人員ともに集計を開始した昭和38年以降、最多となりました。

数字が増えているからこそ、「呼ぶべきときに呼ぶ」ための余力を残しておく必要があります。前倒しと相談を勧めているのはそのためで、遠慮してもらうためではありません。

年末年始に実際に増えるもの①:餅による窒息

ここからは、年末年始に集中して起きるものを見ていきます。まず餅です。

東京消防庁の集計は、時期の偏りをはっきり示しています。

過去5年間で餅などをのどに詰まらせて救急搬送された方は338人

最も多いのは1月で135人、次いで12月が42人となっており、この2か月間で全体の半数以上を占めています

誰に起きているかもはっきりしています。

約9割以上の方が65歳以上の高齢者

65歳以上から増加し、80歳代に最も多く発生

そして、軽く済んではいません。

救急搬送人員の約7割が中等症以上と診断されています

予防としては、同庁が4つ挙げています。「餅は小さく切って、食べやすい大きさにしましょう」「急いで飲み込まず、ゆっくりと噛んでから飲み込みましょう」「お茶や汁物を飲んでのどを潤しておきましょう」、そして「乳幼児や高齢者と一緒に食事をする際は、食事の様子を見守るなど注意を払いましょう」

4つめが重要です。窒息は静かに起こります。声が出ないので、隣にいても気づかれないことがあります。元日の食卓は、高齢の家族が餅を食べている間だけでも目を離さない——それが最も効きます。

起きてしまったときの手順は決まっています。

大きな声で助けを呼び、119番通報とAEDの搬送を依頼し、直ちに気道異物除去を始めます

119番を待ってから手当てを始めるのではなく、人を呼んで通報を頼み、自分は背中を叩き始める——この順番です。具体的な叩き方と、反応がなくなったときの切り替えは別記事にまとめています(餅がのどに詰まって声が出せないとき|119番より先に背中を叩く理由と正しい手順)。

年末年始に実際に増えるもの②:急性アルコール中毒

忘年会・大晦日・新年会と続くこの時期は、急性アルコール中毒も増えます。東京消防庁は搬送人員の推移をこう説明しています。

令和6年は14,190人であり、新型コロナウイルス感染拡大で一時的に減少しましたが、社会活動の再開とともに増加しています。

気温が高く発汗作用が働く時期や冬の忘年会シーズンに救急搬送人員が多くなっています。

年代の偏りもあります。

男女ともに20歳代の人数が抜きんでて多いことが分かります

軽く見られがちですが、同庁は初診時程度別の内訳を示したうえでこう書いています。

昨年は、27人の方が重症(生命の危険が強いと認められるもの)以上でした

同庁が挙げる周囲の対応は3つです。

周囲の人は酔った人に付き添い、一人にしないようにしましょう。

吐いた場合、吐いたものが喉につまらないように注意しましょう。

回復体位をとりましょう。

そして、そもそもの原因についてはこうです。

飲酒の無理強いは、しないようにしましょう。

「寝かせておけば醒める」がいちばん危ないのは、仰向けで吐いたときに気道がふさがるからです。詳しい観察のしかたと救急車を呼ぶ目安は、別記事で扱っています(急性アルコール中毒とは?酔いつぶれた人を寝かせて放置してはいけない理由と救急車を呼ぶ目安)。

年末年始に実際に増えるもの③:発熱と嘔吐下痢

インフルエンザと感染性胃腸炎は、この時期の時間外受診で最も多い組み合わせです。どちらも「休みが明けるまで待てるか」で迷いやすいので、判断の軸を先に持っておくと楽になります。

インフルエンザは、検査を受けるタイミングと薬を使えるタイミングがずれているのが厄介なところです。発症直後に駆け込むと検査が偽陰性になりやすく、逆に待ちすぎると薬の適応から外れます(インフルエンザの初期症状と検査のタイミング)。

嘔吐下痢で受診が必要になるかどうかは、吐き気そのものより「水分が入るか」で決まります。家でできる飲ませ方には手順があり、それを守れると受診せずに越えられることが多くなります(吐いて水が飲めない胃腸炎の水分の与え方)。

子どもが熱を出したとき、時間外でも受診したほうがいいサイン

子どもの発熱について、厚生労働省の資料は「早めに受診(時間外でも)」する条件を挙げています。

①生後3か月未満(予防接種後以外)②脱水かな?③ぐったり④初めてひきつけた⑤体温41℃以上

同時に、こうも書かれています。

熱が高いほど病気が重いわけではない

見るべきは体温計の数字ではなく全身状態です。同資料は全身状態を、「食う」「寝る」「遊ぶ」「出す」ができているかと説明しています。39度でもアイスを食べて遊べる子と、38度でぐったりして飲めない子では、後者のほうが急ぎます。

脱水を疑うサイン

「脱水かな?」の中身も具体的に示されています。

①ぼんやりして、呼吸が荒い②口の中が乾き、目が落ちくぼむ③皮膚が冷たく、色が悪い(青白い、網目状、チアノーゼ)④皮膚をつまんだ時、戻るのに時間がかかる⑤手足の先を押さえて離した時、色調の戻りが2秒以上⑥12時間以上オシッコが出ない、泣いても涙が出ない⑦体重が3%以上減る(体重15㎏で500g以上減る)

⑥と⑦は家で数えられます。おむつが12時間替わっていない体重が減っている——このどちらかがあれば、年末年始でも受診してください。

すぐに受診が必要な嘔吐

嘔吐については、危険なパターンが挙げられています。

①突然、勢いよく「オエーッ」と3回以上吐く②噴水状嘔吐、胆汁性嘔吐③ひきつけたり、意識が低下したりする④体重減少(10%以上は重症)⑤血便⑥強い腹痛

胃腸炎だと思っていたものが、腸重積や虫垂炎、髄膜炎のことがあります。吐き方が普通でないと感じたら、休み中でも診てもらってください。

受診するとき、医師に最も伝わる言葉は「いつもと違う」です。同資料もこう書いています。

“いつも”と違うときはいつもとどう違うか、伝えよう!

高齢の家族と過ごす年末年始に、見ておくもの

帰省は、離れて暮らす親の状態を確認できる数少ない機会です。年末年始に見ておくと役に立つものを挙げます。

入浴は、この時期に最も事故が起きやすい場面のひとつです。脱衣所を暖めるだけでは足りず、湯温と時間の管理が要ります(ヒートショック対策が「脱衣所を暖める」だけでは足りない理由)。

転倒も増えます。慣れない家、暗い廊下、寒さでの動きにくさが重なるためです。頭を打った場合、その場で元気でも数週間後に症状が出ることがあります(高齢者が転倒して頭を打った時)。

皮膚も冬に悪化します。かゆみで眠れない状態が続いているようなら、休み明けに皮膚科を勧めてください(冬のかゆみは保湿剤の量と回数で変わる)。

受診するときに持っていくもの

年末年始は、かかりつけ以外の医療機関にかかる可能性が高くなります。初対面の医師に短時間で状況を伝えるには、物を持っていくのがいちばん早い方法です。

①保険証(またはマイナンバーカード)②お薬手帳 ③子どもなら母子手帳 ④普段の血圧や体温の記録 ⑤かかりつけ医の名前と医療機関名

このうち②と⑤は、年末年始に特に効きます。今どんな薬を飲んでいて、普段は誰が診ているか——この2つが分かるかどうかで、当番医が出せる判断と処方の範囲が変わります。

症状の経過は、スマートフォンのメモでも構いません。いつから、どう変わったか、熱は何度まで上がったか。書いたものがあると、待ち時間の記憶違いを防げます。

まとめ

年末年始は「病院が休みだから我慢する期間」ではなく、制度上すべて休日として扱われる6日間を、どう設計して越えるかの期間です。12月中に薬の日数を数え、かかりつけ医の診療日を紙で受け取り、♯7119が使えるかを確かめておく。休みに入ってからは、迷ったら♯7119・♯8000・Q助に通し、救急車のサインに当てはまったら迷わず119番する。餅は小さく切って見守り、酔った人を一人にしない。これだけで越えられる年末年始は、確実に増えます。

よくある質問

年末年始は、どこの病院も本当に休みなのですか?

全部が休みになるわけではありません。地域ごとに休日夜間急患センターや在宅当番医が設定されており、救急告示病院は24時間動いています。ただし、外来の通常診療は多くの医療機関で止まります。厚生労働省の地方厚生局は「1月2日及び1月3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱っています」としており、制度のうえでも休日扱いです。開いている医療機関は、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」で「現在診療中の医療機関」「休日夜間対応医療機関」の条件で探せます。

年末年始に受診すると、料金は高くなるのですか?

時間帯や日にちによる加算がつきます。医科診療報酬点数表は初診について「時間外加算、休日加算又は深夜加算として、それぞれ85点、250点又は480点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、それぞれ200点、365点又は695点)を所定点数に加算する」と定めています。1点10円で計算されるため、3割負担なら休日加算で750円ほど、深夜加算で1,440円ほどが上乗せされる計算です。実際の窓口負担は年齢や自治体の医療費助成で変わります。なお、緊急性のある症状で費用を理由に受診をためらう必要はありません。

薬が年末年始に切れそうです。どうすればいいですか?

12月の平日日中に、かかりつけ医へ相談してください。「年末年始があるので日数を確認したい」と伝えれば足ります。休みに入ってからだと、時間外の受診で対応することになり、その場では最小限の日数しか出せないことも多くなります。手元の薬を1シートずつ数えて、1月4日まで足りるかを12月上旬に確認しておくのが確実です。お薬手帳は必ず持って行ってください。

救急車を呼ぶか迷ったとき、まずどこに相談すればよいですか?

♯7119(救急安心センター事業)です。総務省消防庁は「医師・看護師・救急救命士から電話でアドバイスを受けることができる」としています。ただし「現在、全国41地域で実施しています」とあるとおり全国一律ではなく、♯7119以外の番号で同じ相談を受けている自治体もあります。子どもの場合は♯8000(子ども医療電話相談事業)で、厚生労働省の資料に「平成22年7月5日より全国で実施」とあるとおり47都道府県すべてに窓口があります。電話がつながらないときは、消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」で4段階の判定ができます。意識・呼吸・出血・けいれんに異常があるときは、相談を挟まず119番してください。

正月に餅を食べるのは、やめたほうがいいのでしょうか?

やめる必要はありませんが、食べ方と見守りは変えてください。東京消防庁の集計では、餅などによる窒息の救急搬送は過去5年間で338人、「最も多いのは1月で135人、次いで12月が42人」で、「約9割以上の方が65歳以上の高齢者」、「救急搬送人員の約7割が中等症以上」とされています。同庁は「餅は小さく切って、食べやすい大きさにしましょう」「急いで飲み込まず、ゆっくりと噛んでから飲み込みましょう」「お茶や汁物を飲んでのどを潤しておきましょう」「乳幼児や高齢者と一緒に食事をする際は、食事の様子を見守るなど注意を払いましょう」を挙げています。窒息は声が出ないため静かに起こります。見守りが最も効きます。

子どもが休みの日に熱を出しました。朝まで待ってよいですか?

待てるかどうかは体温では決まりません。厚生労働省の資料は「早めに受診(時間外でも)」する条件として「①生後3か月未満(予防接種後以外)②脱水かな?③ぐったり④初めてひきつけた⑤体温41℃以上」を挙げ、同時に「熱が高いほど病気が重いわけではない」としています。見るのは全身状態、つまり「食う」「寝る」「遊ぶ」「出す」ができているかです。12時間以上おしっこが出ない、泣いても涙が出ない、ぐったりして飲めない——このいずれかがあれば、時間外でも受診してください。

酔いつぶれた人を、寝かせておいてもよいですか?

一人にしないでください。東京消防庁は「周囲の人は酔った人に付き添い、一人にしないようにしましょう」「吐いた場合、吐いたものが喉につまらないように注意しましょう」「回復体位をとりましょう」としています。急性アルコール中毒による救急搬送は「令和6年は14,190人」で、「冬の忘年会シーズンに救急搬送人員が多くなっています」。仰向けで吐くと気道がふさがるため、横向きにして誰かが付き添うのが基本です。呼びかけに反応しない、いびきのような呼吸をしている、けいれんしているといった状態なら119番してください。

参照ソース(一次情報)

この記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の症状の診断・治療については、必ず医療機関を受診してください。年末年始の診療体制・受付時間は地域や医療機関によって異なりますので、お住まいの自治体の案内をご確認ください。

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